ビジネス・ブランド戦略と商標権
多くのお客様が識別力の弱い商標を出願したがります
2017/08/22
多くのお客様が識別力(*)の弱い商標を出願したがります。
識別力が弱い商標というのは、普通名称化しやすかったり、第三者が使いたがりそうなものが多いのですが、なぜそのような商標を出願しようとするのでしょうか?
これは、ネーミング(商標)を作る過程で「商品やサービスの内容が(何となく)わかるものにしたい!」と思われるためだと思います。
商品やサービスの内容が何となくわかるネーミングは悪くはないのですが、あまりに商品やサービスの内容がダイレクトに伝わるネーミングだと識別力は弱くなります。というか無くなってしまいます。
そうなると登録されるのが難しいばかりでなく、せっかく登録になっても普通名称化しやすかったりと管理が大変になってしまいます。
識別力の弱い商標というのは、ブランドとしても弱いものになりがちです。商品やサービスの内容が分かりやすければ分かりやすいほど「だれそれの○○」という認識は薄れるからです。
商標というの「自他商品識別機能」が最も重要な機能ですので、この機能が弱まるネーミングはブランド戦略によってはお勧めできない場合があります。
その一方で、識別力が弱い商標が効果的な場合もあります。
それは、第三者に使用許諾することを前提に商標の周知・著名化を図ろうとする場合です。
なぜなら、識別力の弱い商標は第三者が使用しやすい(使用したがる)ものだからです。
例えば、「加圧トレーニング」は「四肢の基端付近に圧力を加えることによって、筋肉増強を図るトレーニングの教授」等に商標登録されておりますが(商標登録第5099742号等)、この商標権の権利者が認定した(使用許諾した)インストラクターは「加圧トレーニング」の商標を使用することが許されるようです。
使用許諾した者とそうでない者を商標権に基づいてしっかりコントロールすることで商標を周知・著名化することができ、ブランド価値の向上に大きく貢献した好例だと思います。
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