ビジネス・ブランド戦略と商標権

ブランド戦略と商標権について

「ブランド戦略」(ブランディング)とは、「経営・販売上の戦略として,ブランドの構築や管理を行うこと。」(三省堂「大辞林 第3版」)、「ブランドの生命力を持続させるために、顧客によいイメージを与える事」(自由国民社「現代用語の基礎知識 2013」)等とされています。

自社の商品またはサービスについての顧客の関心や購買意欲を高め、自社の売り上げを効果的に伸ばすためには、ブランド戦略が欠かせなくなってきています。

現在、ブランド戦略の語は、商標を含めた、企業全体のイメージを指すものとしても使用される傾向にあります。

「ブランド」という語の意味が「自己の商品を他の商品と区別するために,自己の商品に使用する名称や標章。銘柄。商標。」(岩波書店「広辞苑 第6版」)等とされているように、商標はブランド戦略において重要な役割を担っています。

自社のブランドの価値を高めるために、商標権との関係でいえば、例えば、以下のような点に気を配る必要があります。

  1. 商標の採択と商標登録出願
    消費者等の購買意欲をかき立てるためには、品質などにおいて他社との差別化をはかると共に、その商品・サービスについて消費者等の注意を引く特徴のあるネーミングをすることも大切です。
    また、そのようなネーミングをその商品・サービスについて独占することができるようにするためには、商標登録出願を行い、商標権を取得しておくことも必要になります。
    その為、ネーミングを行う際には、採用しようとするネーミングが既に他人の権利を侵害するものでないか、採用しようとするネーミングが商標登録を受け得るものであるか、事前に調査して確認しておく必要があります。
  2. 権利取得後の商標の適切な管理
    商標は登録するだけではなく、それを使用し、その商標に信用が蓄積することで初めて価値が生まれるものです。
    また、商標権を取得した後も、他社による模倣品への類似商標等の使用のチェック、自社の登録商標の現実の使用態様の管理、商品・サービスの市場定着後の普通名称化の防止等を怠ると、その商品・サービスについて築き上げた信用に深刻なダメージを与えかねません。
    商標登録後においても、自社の登録商標を適切に使用し、また、それを使用する商品・サービスを取り巻く市場の環境を把握した上で、適切な管理を継続する必要があります。

ブランド戦略において商標権を有効に機能させていくためには、適切な商標登録出願により自社の事業内容・事業計画に沿った商標登録を受け、それを適切に管理してゆくことが重要です。

例えば、その商標が「ハウスマーク(企業名)」なのか「商品及びサービスの名称」なのか、又は、商品及びサービスの名称の中でも「ファミリーネーム」※なのか「ペットネーム(ペットマーク)」※なのか、等、その商標の企業における位置づけや市場の状況等によっても採るべき方策は変わってきます。

効果的なブランド戦略を進めていくために、専門の知識を有する弁理士にご相談下さい。

※ファミリーネーム
シリーズ化された商品・サービスのグループに使用される商標

※ペットネーム(ペットマーク)
個々の商品・サービスに使用される商標

ビジネス役立つ
商標登録情報

書籍紹介

もうけを生み出す中小企業の知財戦略

中小企業は独自の技術やアイデアをもっと活せば大企業と渡り合える
様々な成功事例をもとに知財からもうけを生み出すポイントを解き明かす。