ビジネス・ブランド戦略と商標権

そもそもなんで商標登録が必要なのか?

商標登録(権)というのは、ビジネスを進めていくうえで生じる課題を解決するためのツールですので、どのような課題が生じ得るのかを考えてみる必要があります。

商標登録で解決可能な代表的な課題は、

  1. 会社名を商標的に独占的に使用したい
  2. 商品やサービスのオリジナルブランドを独占的に使用したい
  3. 商品やサービスのオリジナルブランドを第三者に使用させたい
  4. 模倣品を排除したい

という課題が考えられます。

以下、簡単に解説します。

  1. 会社名を商標的に独占的に使用したい
    会社名を商標的に独占的に使用するには商標登録が必要です。逆に言うと第三者があなたの会社名と同じ商標を商標登録してしまうと、会社名を商標的に使用することができなくなる可能性があります。

    会社名というのは一般的には商号であり、商号とは商人を区別するものです。一方で商標は商品・サービスを区別するものですので全く異なります。商人は自己の商号を使用する権利を有しますが(商法12条1項、会社法8条1項)、会社名を商標的に使用する権原を当然には有していません。従って会社名を商標的に使用するには商標登録する必要があります。

    あわせて確認 「商標法の使用」

  2. 商品やサービスのオリジナルブランドを独占的に使用したい
    一番多い課題ではないでしょうか。

    実際にご相談を受ける方のほとんどが、この課題の解決のために商標登録を検討されています。これは、自社で行おうとするビジネスのフィールドを確保するようなイメージです。フィールドが確保されていない場合、第三者がフィールドに入ってきたり、第三者によってフィールドから出されてしまったりしてしまいます。

    これを防ぐために商標登録をする必要があります。

  3. 商品やサービスのオリジナルブランドを第三者に使用させたい
    ブランドの財産的価値は商標に化体した(良いイメージの)周知・著名性です。プレイヤーが自社だけである場合、周知・著名性を向上させるのは困難な場合があります。多くのプレイヤーを集い、管理するためには元となる何かが必要です。この何かが商標登録なのです。

    具体的には、商標権を利用したライセンス契約やフランチャイズ契約がプレイヤー増加のために用いられます。

    商標権に基づきライセンスアウトすることで定期的な収益を確保することが見込めるとともに第三者によってより多くの良いイメージを商標に化体させることができます。より短期間でブランド価値を高めることができる可能性があります。

  4. 模倣品を排除したい
    商標登録を得ていない場合、模倣品を排除することは困難です。

    例えば、アマゾンなどのECサービスを利用してオリジナルブランドの商品を販売していて相乗り出品がなされた場合、商標登録が無いとアマゾンは相乗り出品の排除に力を貸してくれません。

    また、参入障壁が低くビジネス的なうま味のある市場には模倣品(者)が絶えません。

    模倣品(者)を放置することは自社利益の滅失ばかりでなく、市場縮小や需要者の市場離れをも引き起こしてしまいますので模倣品(者)排除のために商標登録は必須と言えます。

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