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外国で商標権を取得する方法

外国商標

商標の保護は商標権が成立している国の領域内でのみ認められます。そして、それぞれの国での商標の登録の可否は、それぞれの国の法律(商標法)に基づいてそれぞれの国(各国特許庁など)で判断されます(領土主権の原則あるいは、属地主義)。

すなわち、日本国で登録を受けた商標が保護されるのは、商標権が成立している日本国内のみとなります。日本国で成立している商標権に基づいて、他の国、例えば、中国や米国において、日本国内で日本国登録商標に与えられるのと同様の保護を求めることはできません。

そこで、外国において事業を行う場合や、外国へ商品を輸出する場合あるいは、国際的に模倣品・偽造品対策を行おうとする場合、等に、商標についての保護を受けるためには、保護を受けようとするそれぞれの国において商標登録を受ける必要があります。

外国において商標登録を受けるには大きく分けて以下の方法があります。

  1. 保護を求める各国への個別の出願
    商標権による保護を求める国、すなわち、自社の商標をつけた商品を輸出する予定がある国や、自社のブランドの下に事業展開を行うことを予定している国の特許庁へ、当該国における弁理士、等の代理人を通じ、その国の法律(商標法)や様式に従って商標登録出願し、商標権の取得を求めることができます。
    なお、我が国に既に出願がある場合には、所定の期間内(日本での商標登録出願の日から6ヶ月以内)であれば、各国に出願する際に優先権主張を行うことが可能です。優先権を主張することのできる国では、その国への出願は、その国の特許庁においても、6カ月前の日本での出願日に商標登録出願が行われていたものとして取り扱われます。
  2. 欧州共同体商標出願(通称CTM出願)
    欧州共同体商標意匠庁(Office for Harmonization in the Internal Market(Trade Marks and Designs)、略称:OHIM)に対し、EU加盟国を一括指定した出願を行い、EU加盟国全域をカバーする商標権を取得する方法です。各国に個別出願を行う場合と同様に優先権の主張をすることができます。
  3. 「マドリッド協定議定書」に基づく出願(いわゆるマドプロ出願)
    日本国特許庁へ出願手続を行うことにより世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局に対して国際出願を行う方法です。
    商標の保護に関する国際条約である、「マドリッド協定議定書」(正式名称:標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書)に基づくものです。
    日本国特許庁へマドプロ出願を提出することで国際登録を行い、これにより、指定した複数の国で商標の保護を受けることができます。
    なお、この制度を利用するためには、出願しようとする商標について、我が国における登録又は出願(基礎登録・基礎出願)が存在していることが前提となります。

上記いずれの方法をとるのが適当であるかは、取得しようとする権利の内容、対象国等の要素を加味して決定することになります。また、手続は、各国の商標法や、マドリッド協定議定書などに従って行わねばなりません。そこで、外国での商標権取得をご希望になる場合には弁理士などの専門家にご相談下さい。

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