商標について知る

- 出願後の審査 -

早期審査について

出願後の審査

商標登録出願を行うと、まず出願書類の様式・方式についての審査(方式審査)がされ、その後、順次出願の内容についての審査(実体審査)が行われます。

実体審査において審査官が出願について拒絶理由(「商標登録を認めることができない」とする理由)が存在しないと判断した場合、「商標登録を認める」という審査官の判断である「登録査定」がなされ、商標登録出願人に通知されます。これに応じて30日以内に10年間分(あるいは、前半5年間分)の登録料を特許庁に納付することで商標権が成立します。

一方、何らかの拒絶理由が存在すると審査官が判断した場合、必ず一回は商標登録出願人に「拒絶理由」が通知され、所定の期間内に意見書・補正書提出等の対応を行って審査官に再考を求めることができます。

<出願から登録までに要する期間:6月から1年程度>

商標登録出願を行ってから最初に審査結果の通知がなされるまでの期間は「FA期間(ファーストアクション期間)」と呼ばれています。1997年には21か月だったものが、2009年で6.2か月、2012年には4.7か月と年々短縮化されています。そこで、スムーズに進んだ場合であれば、出願から平均5か月弱で「登録査定」を受け、その後の登録料納付によって出願から6〜7カ月程度で商標権成立させることが可能になっています。

<早期審査の請求>

事業を行う方々にとっては、商標権取得の緊急性がより高く、前記の期間(出願後半年から1年程度)を待つことが難しいということもあります。

例えば、商標登録出願を行い、その後、出願した商標を使用する事業を開始しているが、特許庁での審査結果が出ていない。そして、審査を待っている間に、第三者が、同一・類似の商標を、同一あるいは似ている指定商品/サービスについて使用開始した場合です。このような場合であっても、商標権が成立した後の当該第三者の行為が商標権侵害になるだけです。審査が完了して商標権が成立するまでは、そのような第三者に対して「商標権侵害になりますから、商標の使用を中止してください」と申し入れることはできません※。

このような場合に利用可能なのが「早期審査」です。
所定の要件を満たす出願については、「早期審査に関する事情説明書」という書面を提出することで、優先して審査を受け、通常より早く商標権を取得すること可能になります。

早期審査による場合、出願から最初の審査結果の通知までが2012年時点で平均1.8か月(特許行政年次報告書2013年版による。)となっており、スムーズに進めば出願からおおよそ2か月程度で登録査定を受け、出願から3か月程度で商標権成立させることが可能になります。

早期審査を受けるにあたっては、いくつかの条件を満たす必要があります。その条件は以下の通りとなっていますのでご確認下さい。

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特許庁HP「商標早期審査・早期審理制度の概要」より引用

手続の詳細は特許庁HP内に記載されていますので、以下をご覧下さい。

http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/pdf/tt1208-023guide.pdf

※商標登録出願を行った後に、商標登録出願した商標を指定商品に使用する等の行為を第三者が開始した場合、出願済の商標を使用している商標登録出願人が、当該第三者に対して警告を行い、商標権成立後、警告後商標権成立前の当該第三者の行為により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することが可能とされています(商標権成立前の金銭的請求権)。

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