“商標”情報ニュース

直虎の名前は誰のものか

 平成29年から始まるNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放送を前に浜松商工会議所や浜松市関係者らが頭を悩ませている。市内の事業者らが食品など関連商品の開発に取り組む中、「直虎」の文字が商標登録され、商品名に思うように「直虎」の文字を使用できないためである。関連商品を通じた地域活性化を狙う同商工会議所や同市は「今後の商品開発や地域振興に支障が出る」として、特許庁に登録取り消しや説明などを求めている。
 
 このドラマは現在の浜松市に存在したといわれる井伊直虎という戦国時代の女性の一生を描いた作品である。このドラマの放送が行われることが決まってから、県内外の事業者や個人から商標出願され、これまでに「直虎」「直虎の里」などが登録されている。商標出願はドラマ放映が発表された2015年8月以降に増え、「直虎」の語は菓子や清酒などの多くの食品区分で登録されているため、商標権者の許可なく使用することは出来ない。これについて浜松商工会議所の担当者は「歴史上の人物の名前の商標が独占されるのはおかしい」と訴える。
 
 特許庁データベースJ-Plat Patによると、「直虎」の商標については登録の取り消しを求める異議申し立てが審理中である。異議申立の審理では「直虎」の文字によって、誰もが即座に「井伊直虎」という人物を連想できるのかが焦点になると思われる。
 
特許庁は2009年から関係のない第三者が故人の名前を商標登録できないように制度を運用してきた。ただし、今回の場合は井伊直虎以外にも「直虎」と言う名前の人物に江戸時代末期の大名堀直虎、明治・大正時代の政治家鍋島直虎などがいるため、直虎=井伊直虎と直感できず今回の登録につながったと見られる。

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