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- 商標制度について -
商標登録 先願主義
2015/01/07商標制度について
1.「先願主義」について
[商標法第8条第1項]
同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
[商標法第4条第1項第11号]
当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
「先願主義」とは、商標を先に使用(先使用)していたか否かにかかわらず、先に出願した者に商標登録を認めるという主義(考え方)です。つまり、「早い者勝ち」ということです。
「商標登録」が認められると、「商標権」が発生し、「商標権」を有する商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標を独占的に使用することができます(商標法第25条)。また、商標権者は、たとえば、他人が自社商品の登録商標と類似する商標をその商品に使用することを排除することもできます(商標法第37条1号)。
「先願主義」のもとでは、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
(具体例)
A社、B社は、ともに同一の商標を同一の商品について使用している
A社:B社よりも早い時期から商標を使用している(先使用者)
B社:A社の使用後、数年してから商標登録をし、商標を使用している(商標権者)
この場合、先使用者であるA社が商標を使用する行為は、形式的に、B社の商標権を侵害することになります。そのため、B社から、商品の生産を差止められたり、損害賠償を請求される可能性があります。最悪の場合、A社は、今後商標を使用することができなくなる可能性もあります。
ここで、A社は、B社よりも早い時期から商標を使用しております。そのため、A社は、所定の要件を満たせば、「先使用による商標の使用をする権利」[以下「先使用権」といいます](商標法第32条)を有する可能性はあります。「先使用権」を有することにより、B社からの差止請求等に対して反論ができ、商標を使用し続けることができる場合もあります。
しかしながら、「先使用権」が認められるか否かについての判断には、時間がかかる可能性があります。したがって、「先願主義」を採用している日本において、自己の業務を円滑に、安心、安全に行うため、「商標出願」をいち早く行うことは重要であると考えます。
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