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- 登録後、商標の使用注意点 -

無効審判について

登録後、商標の使用注意点

商標登録出願が行われた商標について登録を認めることができるかどうか特許庁審査官が審査する「商標登録の要件」※を満たしていないにもかかわらず、誤って商標登録されることがあり得ます。
このような場合に、その商標登録を無効にするために特許庁へ請求し審理を受けることができるのが商標登録無効審判です(商標法第46条)。

※商標登録の要件
自己の商品・サービスと他人の商品・サービスとを区別することができない商標や、公益に反する商標、他人の商標と紛らわしい商標などは登録を受けることができない。

<商標登録無効審判制度の目的>

商標登録を最初からなかったものとするための手続であるという点で商標登録異議申立制度と共通しますが、商標登録無効審判は、過誤による商標登録を無効にするという目的の他に、当事者間の紛争(例えば、商標権侵害訴訟)を解決する役割も担います。

<商標登録無効審判を請求できる者>

商標登録無効審判を請求できる者は利害関係人に限られています。
例えば、商標権侵害訴訟を提起された被告が、対抗手段の一つとして、原告(商標権者)の商標権は成立するべきではなかった(商標登録は最初からなかったものとすべきである)として、特許庁に、商標登録無効審判請求を提出することがあります。

<商標登録無効審判を請求できる時期>

商標権成立後はいつでも請求できます。
なお、商標登録無効審判請求の根拠にできる理由(無効理由)の中の一部については、商標登録から5年を過ぎると無効審判請求できなくなりますので注意が必要です。

<商標登録無効審判請求の理由>

商標登録出願が行われた商標について登録を認めることができるかどうか特許庁審査官が審査する「商標登録の要件」で判断されるのとほぼ同様な理由で商標登録無効審判請求できます。
ただし、一部に異なっているところがあり、また、商標登録無効審判請求の根拠にできる理由(無効理由)は商標法第46条第1項第1号に列挙されている理由に限られますので注意が必要です。

<商標登録無効審判の手続>

商標登録無効審判の審理ではいわゆる当事者対立構造が採用されます。
特許庁は、商標登録無効審判請求人から提出された書類を被請求人(商標権者)へ送付し、特許庁が指定する期間内に反論(答弁書)を提出すように求めます。
特許庁は、請求人(無効審判請求人)、被請求人(商標権者)にそれぞれ主張、立証を行わせた上で、商標登録を無効にするか否かを判断します。

(無効審決)
特許庁での審理の結果、商標登録を無効にすべきと特許庁が判断した場合には、「無効審決」が下され、請求人(無効審判請求人)、被請求人(商標権者)に送達されます。
無効審決謄本の送達があった日から30日以内に、商標権者が、知的財産高等裁判所に「審決取消訴訟」を提起しない場合、あるいは、提起したが、知財高裁が訴えを棄却し、不服申し立ての道がなくなったときには無効審決が確定します。

(請求棄却審決)
特許庁での審理の結果、商標登録無効審判の請求を認めない(商標登録に所定の無効理由は存在しない)と判断した場合、特許庁は「請求棄却審決」を下し、請求人(無効審判請求人)、被請求人(商標権者)に送達します。
請求棄却審決謄本の送達があった日から30日以内に、無効審判請求人が、知的財産高等裁判所に「審決取消訴訟」を提起しない場合、あるいは、提起したが、知財高裁が訴えを棄却し、不服申し立ての道がなくなったときには「請求棄却審決」が確定します。

<無効審決確定の効果>

無効審決が確定すると、商標権は初めから存在しなかったものとみなされます。なお、「後発的無効理由」と呼ばれる所定の無効理由による場合には、無効理由に該当するに至った日又はそれを特定できないときは無効審判の請求の登録の日から消滅することになります。

<請求棄却審決確定の効果>

請求棄却審決が確定すると、商標権は維持され、その審判の当事者及び参加人は、同一の無効理由・証拠に基づく再度の商標登録無効審判を求できなくなります(一事不再理)。

<知財高裁判決後の特許庁での再審理>

知的財産高等裁判所が、「特許庁がした審決を取り消す」と判決した場合には、事件が特許庁に戻り、商標登録無効審判が再開され、特許庁は裁判所の判決に拘束された新たな審決を行うことになります。
無効審決を取り消す判決がなされた場合には、特許庁で新たな無効理由を見出すことができない限り、無効審判請求を棄却する(商標権を維持する)審決が下されます。
請求棄却審決を取り消す判決がなされた場合には、特許庁は裁判所の判決に拘束されるので、一般的には、「無効審決」が下されることになります。

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